SSH 生徒の活動

シカの食害問題に関する講演会(屋久島研修事前学習)

2026年4月13日 09時44分

日 時:令和7年12月5日(金)
場 所:本校地学教室
講 師:西部総合県民局 保健福祉環境部 環境担当 森 一生主席
参加者:屋久島研修参加生徒7名、希望生徒4名
内 容:
 屋久島では、人間とほぼ同数のシカやサルが生息しており、野生動物による自然環境への影響が大きな問題となっています。私たちが住む徳島県においても、屋久島と同様にシカの増加による食害が深刻化しており、自然環境や地域社会に大きな影響を及ぼしています。そこで本校では、屋久島研修に先立ち、地元徳島県におけるシカの現状と対策について理解を深めるため、県の担当者をお招きし、講演会を実施しました。

 講演では、現在徳島県内に約9万頭のシカが生息していること、また調査の精度が向上したことにより、年間で約2万頭規模で増加していることが明らかになっていると説明を受けました。シカはもともと平地に生息する動物でしたが、平成18年に剣山で初めて確認され、平成20年頃には高標高域でも個体数が増加したことから、剣山周辺で見られる植生被害の大きな原因がシカであると判断されたそうです。また、徳島県が本格的にシカの食害対策に取り組み始めた背景には、キレンゲショウマをはじめとする貴重な高山植物や観光資源を守る目的があり、当初は環境保全というよりも「観光を守る」視点が強かったことも紹介されました。
 講義の前半では、個体数を推定するための調査方法や、GPSを用いた行動範囲の測定、積雪量とシカの移動との関係など、現在行われている科学的な調査について、実際の機材を見ながら詳しく説明していただきました。後半では、徳島県で実施されている捕獲や防護柵設置などの具体的な対策と、その効果について学びました。

 講演の中で特に印象に残ったのは、「シカが食事をするのは生きるために当然の行動であり、誰を主語に考えるかによって言葉の選び方が変わる。人の立場に立てば『被害』だが、環境全体の立場で考えるなら『影響』という表現が適切である」という言葉でした。この言葉を通して、これまで『被害』という一面的な捉え方をしていた自分たちの考えを見直すきっかけとなりました。
 その後、私たちは屋久島での研修を終え、実際にシカやサルによる植生への影響を現地で目の当たりにしました。今回の講演で学んだ「人間中心ではなく、環境全体を主語にして考える視点」は、屋久島の自然を理解する上でも大きな支えとなり、研修での学びをより深いものにしてくれました。今後は、徳島と屋久島、二つの地域に共通する課題として野生動物と人間の共生について考え、探究活動をさらに発展させていきたいと考えています。
シカ食害

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