開発教材等

生成AI×コンピテンシーで考える授業づくりの例①(プロンプト例)

2025年12月16日 11時23分

はじめに

 本校では、「知識・技能」の定着に加え、生徒が学びを実生活や探究場面で活用できる「コンピテンシー」の育成を重視しています。その実現のために、生成AIを授業設計の補助として活用し、短時間で「コンピテンシー育成型」の授業案を作成できる仕組みを整えました。

1.このプロンプトからできること

 生成AIを用いることで、教員は授業づくりをゼロから始めるのではなく、必要事項を入力するだけで、次の要素をそろえた授業案(50分想定)をまとめて作成できます。

  • 授業目標(知識・技能/コンピテンシーの両面)

  • 授業の流れ(導入・展開・まとめの時間配分)

  • 生徒の学習活動(具体的手順・教師の問いを含む)

  • 評価方法(観点別評価との対応、簡易ルーブリック4段階)

  • 授業中の観察ポイント(行動として見取れる例)

2.本校が大切にしているポイント

 ポイントは、育てたい力を多く並べることではなく、「この授業で特に伸ばす力」を明確にすることです。本校では、INTEGRATORの10項目(創造力、課題発見力、協働力、評価・分析力、情報収集力、表現力、主体性、倫理的思考力、整理・自己調整、問題解決力)を共通言語として用い、各授業で 育てたいコンピテンシーを1つに絞って設計しています。

  • 1授業で扱うコンピテンシーを1つにする

    • 活動・評価・見取りが明確になり、授業改善もしやすくなります。

  • 「活動」ではなく「行動」を設計する

    • 例:話し合う → 根拠を示して比較する/結論を更新する、など。

3.生成AIの位置づけ

 生成AIは「正解を作る道具」ではなく、授業設計や学習の中で 比較・検証・改善を促す相手として活用します。授業案の作成や学習活動の提案においては、次の観点を必ず含めるよう校内で共通化しています。

  • 出典確認:教科書・資料・一次情報に戻って確かめる

  • 比較検討:複数の見方を出させ、根拠で採否を判断する

  • プライバシー配慮:個人情報(氏名・顔写真・成績等)は入力しない

4.校内研修での活用

 校内研修では、各教科が同じ枠組みで授業案を作成し、持ち寄って検討します。これにより、教科の違いを越えて「目標―活動―評価―観察」のつながりを点検でき、授業改善の共通基盤ができます。

  • 各教科が単元授業を作成(知識・技能+コンピテンシー)

  • ルーブリックと観察ポイントを確認し、改善案を共有

  • 次の授業実践に反映し、継続的にアップデート

5.他の学校でも活用可能なところ

 本取組は特定教科に依存せず、「単元授業をコンピテンシー育成型に再設計する」ための汎用的な枠組みです。教科・学年・単元を変えても同様に適用できるため、授業改善や教員研修の共通ツールとして活用できます。