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2019/11/27

令和元年度 芳越同窓会総会記念講演会録

| by:芳越同窓会

令和元年度 芳越同窓会総会記念講演会録
 令和元年8月4日(日)実施
 演題「どうなる地球温暖化 どうなるレジ袋」
 講師 大垣 光治 氏 (高16回卒)
 
   
 昭和47年8月20日の徳島新聞に,徳島市の新町川に16年ぶりにボラがかえってきたという記事が掲載された。当時日本中の川は,真っ黒に汚染しで魚が住めないという状況だった。「この時期は盆休みのため,川岸の工場はどこも休みだ。工場から川へ流れ込んでいた排水が止まり,新町川に久しぶりにボラがかえってきた。しかし盆が明けると,いつものように魚は消えてしまった。」全国の自治体では,このような公害問題に対処するための組織作りを行った。私も昭和46年に,徳島県の公害問題を担当する部署の職員の一人として採用された。
 昭和47年に瀬戸内海に赤潮が大量に発生した。当時瀬戸内海ではハマチの養殖が盛んに行われていた。発生した赤潮のために大量のハマチが死に,被害総額は70億円にもなった。困った漁業組合の人たちは,瀬戸内海周辺の工場や自治体に損害賠償を求めて,裁判を起こした。
 こうした公害問題は15~20年かかったが,少しずつ解決されていった。今の新町川は,遊覧船でひょうたん島クルーズなどが行われており,たいへんきれいな川によみがえっている。
 公害と入れ替わって問題になってきたのが,地球環境問題,特に温暖化による異常気象だ。今年は8月に入ってようやく梅雨が明けたが,そのあと猛暑となり,熱中症の危険警戒レベルが続いている。これも温暖化の一つの現れと言えるのかもしれない。
 では地球規模ではどうなっているのだろうか。1891年(明治24年)頃から今までの130年の間に,世界の年平均気温は1度弱くらい高くなっている。特に最近20年は,ものすごいスピードで上がっている。私たちが子どもの頃は冬には雪がたくさん降り,氷がはったりつららが垂れたりしていた。しかし,今ではそんな風景はほとんど見なくなった。どうして,そうなってしまったのだろうか。
 その頃家にあった電気製品と言えば,白熱電灯とラジオくらい。しかし今では,電気器具が家中にあふれている。また自動車がある家はなかったが,今では1軒に1台いや1人1台が普通になっている。電気器具や車を動かすため,石油や石炭といった化石燃料がたくさん使われ,空気中には二酸化炭素がどんどん増えている。
 二酸化炭素をたくさん出している国は中国とアメリカ,そしてインド,この三つの国で50%,つまり世界の二酸化炭素の半分は,この三つの国が出している。日本は中国やアメリカに比べると多くはないが,それでも世界で5位,私たちの責任は大きい。
 21世紀が終わる2100年頃,地球の気温はどうなっているのだろうか。私たちがどんな社会を作るかによって変わってくる。世の中には,医療,少子化,高齢化,経済格差など様々な問題があふれている。でも温暖化対策など地球環境問題も大切な問題だ。
 限られた資金と人材を,どの分野にどのように振り分けるのか。もし環境問題の解決を最優先にして積極的に取り組めば,2100年頃の世界の平均気温は今よりも1度程度の上昇に押さえられる。しかし温暖化対策を後回しにすると,世界平均気温は約6度も上がると予想されている。一年間の平均気温が1度上がると,徳島は今の鹿児島と同じくらいの気候になる。もし6度上がるとすると今の沖縄の気候になると考えると分かりやすい。 ではどうすればいいのだろうか。
 私たちは,石油や石炭といった化石燃料をたくさん使って,二酸化炭素をたくさん出しながら,快適で便利な生活をしている。しかし私たちが出している二酸化炭素のうち30%は植物が吸収しており,また25%は海や川の水に溶け込んでいる。残りの45%が空気中にたまっている。簡単に言うと,私たちの生活を見直して,二酸化炭素を半分に減らすと,空気中にたまる二酸化炭素はこれ以上増えなくなり温暖化もストップする。現在,二酸化炭素を半分に減らすための努力が,世界中で行われている。
 では,二酸化炭素を半分に減らすには,どうすれば良いか。よく言われているのが電気をこまめに消す,エアコンの設定温度を考えるなどである。一人一人ができることに取り組むことは大切なことだが,その取り組みだけではとても間に合わない。太陽光発電,風力発電などの自然エネルギーの利用やLED照明,電気自動車など科学技術をうまく利用することも大切なことである。
 日本で最初にLEDの信号機が設置されたのは,徳島市の県警前の交差点だった。今から25年前のことである。LEDの明かりは非常に丈夫で長持ちするし,電気をあまり消費しない。地球に優しい照明と言われている。県警前の信号機の明かりも25年のあいだ一度も故障していない。今ではほとんどのところでLED信号に替わってきている。
 そしてもう一つが自動車である。ガソリン車,ハイブリッド車,電気自動車と,より地球に優しい車に変わってきている。そして最近注目されはじめたのが,燃料電池自動車である。これはガソリンタンクの代わりに,水素ガスのボンベが載っている。この水素ガスと空気中の酸素を使って電気を作り,その電気で車を走らせている。つまり,自分で電気を作りながら走っているのが燃料電池自動車である。ガソリンやディーゼルを一切使わないので,二酸化炭素を出さない地球に優しい車と言える。価格はだいたい750万円くらいだが,200万円国から補助が出るので500万円くらいで買える。ただ問題なのが,燃料である水素ガスを充填できるところが,徳島県内には二カ所くらいしかない。電気自動車の充電施設はコンビニ等最近増えてきているが,燃料電池車についてはまだまだこれからだ。これ以外にも様々な新しい科学技術を使って温暖化対策を進めようとしている。

 ここからは,レジ袋について考えよう。脇町のミライズにあるスーパーでは今年の8月からレジ袋が有料になった。他のスーパーも同じような動きがある。今年から急にプラスチックに対しての関心が高まった。これはなぜか。プラスチックによる海の汚染と中国の環境問題,この二つが大きく関係している。
 最初に海のプラスチック汚染について考えよう。
 私たちが小学生の時(1950年代)には,プラスチックと言えばセルロイドくらいしかなかった。「赤い目をしたお人形は,アメリカ生まれのセルロイド」という童謡が頭に浮かぶ人もいるかもしれない。そのキューピー人形や,ふで箱,下敷きなどにセルロイドが使われていた。「セルロイドは燃えやすいので,火のそばにもっていくと危ない」と,親が言っていたのを覚えている。
 プラスチックは,いつくらいからこんなにたくさん使われるようになったのだろうか。資料を見ると,1960年くらいからプラスチックの生産が増えており,プラスチックが身近になってきた。このまま増え続けると,あと20年のあいだにプラスチックの生産量は今の2倍に増えると言われている。
 海岸に流れ着いたゴミの写真を見たことがあるだろうか。海岸には,ペットボトルやコンビの弁当箱など,廃プラスチックがたくさん流れ着ついている。魚やウミガメが,海を漂うプラスチックを間違って食べるということは,1970年代から問題になっていた。ウミガメはふだん餌としてクラゲを食べるが,そのクラゲと間違ってレジ袋を食べるということがある。ウミガメが網に絡まったり,レジ袋を頭からかぶったりしている写真を見たことがある人もいるだろう。
 問題になっているのは,道ばたに捨てられたレジ袋やコンビニの弁当箱,お菓子の袋などが,風や雨によって川に,また川から海へ流れて行く。そして海に流れ出たプラスチックは,太陽の紫外線や波の力で,だんだん小さくなる。5ミリより小さくなったのが「マイクロプラスチック」。魚を解剖すると,プラスチックの破片が内蔵から出てくることがよくある。マイクロプラスチックは動物性のプランクトンとよくにた大きさなので,小魚が間違って食べてしまう。お腹にプラスチックを持った魚を,もう少し大きな魚が食べ,その魚をもっと大きな魚が食べ,最後には人間が魚と一緒にマイクロプラスチックを食べている。今のところ人間が食べたからと言って,すぐに害になるわけではない。しかし,今から20年もすると海の中のマイクロプラスチックは,二倍に増えると予想されており,いつまでも大丈夫とは言い切れない。
 日本の周りの海は,どうなっているのだろうか。0.3~1ミリのマイクロプラスチックの場合,日本の近海には1キロメートル四方の中に約1万個ただよっているという試算がある。日本の近海は,世界的に見てプラスチックが比較的たくさん漂っている海域といえる。
 ではこのマイクロプラスチックは,どこの国から流れ出しているのだろうか。残念なことに,アジアの国々が主な原因となっている。1位が中国,2位がインドネシア,3位がフィリピン,4位がベトナム,5位がスリランカだ。中国以外の国は発展途上なので,使ったプラスチックを回収して再利用するというところには手が回っていない。
 去年6月にG7がカナダで開かれたが,そこでの大きなテーマの一つが,プラスチック問題だった。そこで,2030年までに半分,2040年までにはすべてのプラスチックを再利用して,使い捨てをやめようという合意に達した。ただ非常に残念なことだが,アメリカと日本がこれに署名しなかった。皮肉なことに,海がマイクロプラスチックで汚染されているということを,このニュースで世界中の人が知ることとなった。私たち日本人の中にもその時初めて知った人もいたのではないだろうか。
 アメリカのスターバックスやマクドナルドでもストローやプラスチック容器をできるだけ紙に変えたり,分解しやすいプラスチックに変えていこうという動きになっている。G7で署名しなかった日本も動き始めた。
 日本では,使われたペットボトルの85%は回収してリサイクルしている。もう一度新しいペットボトルを作ったり,卵のパック,シャツ,文房具などいろいろなものに再生される。マイバッグにもリサイクルしている。ペット100%と書かれているマイバッグを使っている方もいるのではのないだろうか。
 日本はペットボトルが85%リサイクルされている。ヨーロッパでは40%,アメリカでは20%。ただし,これにはからくりがある。日本は国内で半分,海外で半分リサイクル製品を作っている。回収したペットボトルがきちんと分別できていなかったり,汚れたりしていることがあるので,どうしても人手が必要である。そのため回収したペットボトルを,人件費の比較的安い発展途上国に輸出して,そこでリサイクルしてもらっている。つまり日本のリサイクル率85%という数値は,海外その中でも特に中国でのリサイクルが含まれている。。
 すさまじい勢いで経済発展している中国ではゴミも増えており,自国のゴミの処理で精一杯になってきている。人件費も上がっており,そのため2018年から海外からのゴミの受け入れを全面的にストップした。日本は他の受け入れてくれる国を探したが,中国ほど多くを引き受けてくれる国は見つかっていない。その結果,ペットボトルなどのプラスチックゴミが日本国内にたまってきている。
 環境省は市町村が持っている焼却炉で燃やすようにと,言い始めている。これはただ燃やすだけなので,リサイクルでもなんでもない。あまりよくないことは分かっているが,苦肉の策でそういうことを言い出している。どの市町村もよそからのゴミを引き受けるとは言わない。周りの住民も反対する。大きな問題となっている。
 どうすればよいのだろうか。私たちがたくさん使っているプラスチックを少しずつでも減らしていくしか方法はないのではないか。レジ袋を有料化したり紙で代用するなど,できるところから少しずつ実行していこうという動きが始まっている。
 来年7月には法律でレジ袋を有料化する。企業によっては,国の動きを先取りして有料化に取り組むところもあるが,企業によって考え方は違う。大変なのはコンビニだ。ちょっとした買い物をする人にとっては,マイバッグを持って行くのはどうもという人が多い。どうしても取り組みが遅れがちになっている。
 私たちの意識改革がとても大切だ。


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